動物のインフルエンザ
Last updated: 14 Nov,2005ズーノーシス(zoonosis-人畜共通伝染病)としてのインフルエンザウイルス1997年暮れから、1998年はじめに全世界の注目をあびた香港の新型ウイルス −A/Hong Kong/156/97(H5N1)−は鶏の家禽ペスト型ウイルスであることが、 遺伝子解析から判明した。 サイエンスの1998年1月16日号(サイエンスの許可を得た)によると、8分節の RNA全てが鳥型インフルエンザに近いものであった。このレポートのなかで、 中国南部農家の人は1-38 %の割合でH4-H13に対する抗体を保有してい ることがふれられている。H5に対する抗体も7%の人が保有していた。鳥しか 持たない亜型ウイルスの抗体を人が保有していたことは、鳥ウイルスが直接 ヒトに感染する可能性を示唆している。
この地域は、アヒル、豚、人が共生している地域であり、鳥ウイルスが豚を 通過した後、人に感染するようになった可能性もある。感染することと、病気 になることは別な問題である。香港新型ウイルスで18名の患者のうち6名が 死亡しているが、家禽ペスト型のHAであったからと言って、このウイルスのヒトに対す る病原性が強いとの判断はできない。スペイン風邪には家禽ペスト 形HA配列がなくても多くの人が死亡していて、2005年に鳥インフルエンザウイルスが変異して直接ヒトに感染していたことが証明された。また家禽ペスト型のウイルス であっても水禽には起病性ないことが多い。病原性のウイルス側と宿主側の因子はいま だに不明である。
この新型ウイルスについては、 国立感染症研究所感染症情報センター、 井上忠恕のページ に詳しい情報と関連リンクサイトが掲載されているのでそちらにアクセスする ことをお薦めしたい。豚からヒトへ感染は、まれではあるがよく知られた事実 である、しかしそのウイルスが大流行を起こした例はない。香港の発生でも、 鶏からヒトへの感染はあったが、ヒトからヒトへの感染は認められず、このウ イルスによる、大流行は起こらなかった。今回の香港の事例は、鳥、豚、ヒ トのウイルスの生態学的研究がなによりも重要であることを示している。