動物のインフルエンザ
家畜衛生試験場のインフルエンザウイルスに対する取り組み
- 鶏インフルエンザ様疾患のための全国抗体調査
1996年に岩手県、鹿児島県でインフルエンザ様疾病が発生したので、1997年 1-2月に全国5,020羽の鶏の血清の抗体調査を行った。
検査方法:A/budgeriger(セキセイインコ)/Aichi/1/77(H3N8)を抗原にELISA法- Enzyme-l inked immunosorbent assay(エライサ−酵素免疫測定法)でスクリーニングした。陽性検体についてはHI− Hemagglutination Inhibition (血球凝集抑制)試験で確認した。HI試験用の抗原としては、A/FM/1/47(H1N1)、 A/Aichi/2/68(H3N2)、A/tern(アジサシ)/South Africa/61(H5N3)、A/Chicken/Japan/24(H7N7) を用いた。
その結果、20県、48農家、35例が陽性であった。HA亜型別の陽性数は、H1:21例、H3:9例、H1と H3:5例で、H5及びH7に対する陽性例はなかった。
調 査 数 抗体陽性数 (%) 都道府県 47 20 (43) 農 家 504 28 (5.6) 鶏 5,020 35 (0.7)
考察:抗体陽性鶏は東北から沖縄まで、広く分布していた。しかし、陽性率低いことから、 この時点ではわが国には強い伝播力のあるインフルエンザは流行していない。
- 鶏型香港インフルエンザに対する全国調査・研究(厚生省、農林水産省の家畜衛生課、大学との共同研究)
- 課題名:新型インフルエンザの疫学に関する緊急研究(平成9年度)
- 小課題1.新型インフルエンザの国内鳥類におけるウイルス疫学的研究
小課題2.ヒト由来新型インフルエンザウイルスの鶏に対する病原性に関する研究
- 全国の鶏群の新型インフルエンザウイルス抗体解析
全国47都道府県の家畜保健衛生所で、原則として飼養農家数の1/10戸を対 象に、平成9年12月〜平成10年1月に1戸あたり10羽の鶏から血清を採取し、 家畜衛生試験場で新型インフルエンザウイルスを抗原として抗体調査を行い、その 結果と既往の結果との比較などにより、新型インフルエンザウイルスの感染の可能 性を解析する。総数約5000例の見込み。- 輸入鳥類、渡り鳥の保有ウイルス解析
輸入鳥類については、全国の家畜保健衛生所に依頼し、ペットショップにいる愛 玩鳥(スズメ目等)を対象に立入調査を行うとともに、血清、ウイルス分離を行い、家 畜衛生試験場へ送付。ペットショップは各都道府県で、10店舗ずつとし、1店舗あた り4〜5羽を対象の予定。全体で2000羽程度を対象の予定。
渡り鳥については、シベリア、中国東北部より飛来し、越冬しているカモ類、コハ クチョウを対象とし、水田、海岸等でそれらの糞を採取し、中に含まれるウイルスの 性状解析(抗原性、遺伝子タイプ、病原性等)を行う。対象地区は山陰地方の予定。 検体数は400程度を予定。
ヒト由来のウイルスを鶏に接種し、死亡率、症状を観察する。この実験では、ウイル ス接種後から実験終了の消毒まで、鶏を気密の陰圧アイソレーター内で飼育・観察す る。鶏への病原性を明らかにすることは、ヒト及び鶏に対する本病の防疫を考える上で 重要である。
- トリインフルエンザの診断法の確立(揚内プロジェクト、平成9−10年度)
この課題では、本病の行政対応及び効果的防除対策のために、血清学的、病理学的、及び 遺伝子診断法を確立することを目的としている。