ブルータング(bluetongue)
1.原因
レオウイルス(Reoviridae)科、オルビウイルス(Orbivirus)属、ブルータングウイルス(Bluetongue virus:BTV)群に属するウイルス。10分節からなる2本鎖RNAをゲノムに持つ。24の血清型の存在が確認されている。
2.疫学
日本を含む世界中の熱帯・亜熱帯・温帯地域に分布し、牛、水牛、しか、めん羊、山羊等の反芻動物に発生する。ウイルスに対する感受性はめん羊が最も高い。ウイルスは吸血昆虫(主に体長1〜3mmほどのヌカカ)によって媒介され、伝播するため、その流行には季節性(夏〜秋)がある。接触感染はない。
3.臨床症状
感染しためん羊は発熱、元気消失、食欲減退、顔面浮腫、流涎、嚥下障害、鼻汁漏出、呼吸困難等の症状を示し、舌や口唇、口腔・鼻腔粘膜に腫脹や潰瘍形成が見られる。「ブルータング」の病名は、舌(tongue)がチアノーゼによって青紫色を呈し腫大することに由来する。発症後期には、蹄部の腫脹や潰瘍形成、骨格筋の変性による跛行を示す場合もある。また、妊娠めん羊が感染すると流産や死産、新生子羊の大脳欠損が見られることがある。牛や山羊等では、一般的に症状が軽く不顕性感染率も高い。
4.病理学的変化
リンパ節の充出血・水腫・肥大、肝臓や脾臓の充血・腫脹、気管や食道筋の出血・水腫および硝子様変性などが認められる。胎子感染では、脳水腫や非化膿性脳炎がみられる。
5.病原学的検査
発病初期または発熱時の血液を材料とし、ウイルス分離を行う。ヘパリン化血液を血球・血漿に分け、血球をリン酸緩衝液で3回洗浄して凍結融解後、発育鶏卵や培養細胞に接種する。RT-PCR法によるゲノムの検出も補助的診断法として有用。分離ウイルスの血清型同定には中和試験を用いる。
6.抗体検査
寒天ゲル内沈降反応、競合ELISA等。血清型が多いため、中和試験は抗体検査には向いていない。
7.予防・治療
南アフリカ等の海外ではワクチンが使用されているが、国内では使用されていない。嚥下障害を示した羊に対しては、補液および誤嚥性肺炎の防止のための対症療法を行う。
8.発生情報
(2007年はアカバネ病・発生月報に変更があり、2007年は家畜伝染病・発生月報のみデータベース化しております。)
9.参考情報
獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第2版(近代出版)
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| 写真1:嚥下障害で飲水が逆流している牛(原図:元動物衛生研究所、後藤義之氏) | 写真2:食道紋筋の硝子様変性(原図:元動物衛生研究所、後藤義之氏) |
編集:動物衛生研究所・動物疾病対策センター・疫学情報室、文責:九州支所、山川 睦生


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