硝酸態窒素分析法

 

粗飼料中の硝酸態窒素濃度(飼料分析基準法,HPLC法)

HPLC条件

カラム:Asahipak NH2P-50 4E (4.6 mm x 250 mm),昭和電工

溶離液:りん酸緩衝液(りん酸水素2ナトリウム.12水和物 1.79 g,りん酸2水素ナトリウム2水和物 0.78 g,過塩素酸ナトリウム1水和物 14.04 gを水に溶かして1 Lとしたもの.

流速:0.8 ml/min

検出:紫外吸収(210 nm)

抽出

試料5gに溶離液と同じ組成のりん酸緩衝液あるいは蒸留水を250 ml加え,20分間振り混ぜ,ろ紙でろ過する.ろ液をさらにHPLCサンプル前処理用メンブランフィルターでろ過し,HPLC用試料とする.

標準液

市販標準液(硝酸性窒素標準液,和光純薬 144-06351 および 亜硝酸性窒素標準液,和光純薬 147-06341)を適宜希釈する.

自ら調製する場合は,硝酸ナトリウムおよび亜硝酸ナトリウムを105℃で3〜4時間乾燥した後秤量し,水に溶解する.

文献

飼料分析基準注解(第3版),日本科学飼料協会(1998).

ヒント 硝酸態窒素分析用カラムの取り扱い

購入時の硝酸態窒素分析用カラム(Asahipak NH2P-50 4E)には,アセトニトリル:水(75+25)が充填されています.ここに分析用移動相(高濃度の塩が含まれている緩衝液)を流すと,塩が析出する可能性があります.移動相を流す前に,充分量の蒸留水をカラムに送液し,アセトニトリルを洗い流しておく必要があります.カラムを保存する場合はこの逆の操作をし,アセトニトリル:水(75+25)を充填した状態で保存します.

また,アセトニトリル:水系から硝酸態窒素分析用移動相へ交換後,カラム担体が完全にイオン化するまでに時間がかかります.0.1〜0.2 ml/minくらいの流速で一夜,移動相を流し続けると安定します.

粗飼料中の硝酸態窒素濃度(電子レンジ乾燥,RQフレックス法)

試料をはさみで3 cmくらいに細切

細切した試料10-30 gを陶器製平皿に広げ,電子レンジ(弱,約170 W)で加熱乾燥

「強」で加熱すると発火するので注意

乾燥に要する時間は試料によって異なるがおよそ10-15分くらい.

(乾燥前後の重量から,水分含量を計算する)

乾燥した試料を電動コーヒーミルで粉砕

粉砕した試料0.3 gをプラスチック50 mlコニカルチューブに計りとり,蒸留水30 mlを加える(100倍希釈)

時々撹拌しながら30分放置

ろ紙でろ過する

RQフレックス試験紙をろ液に浸し,60秒後に測定

RQフレックスの表示は硝酸イオン濃度なので,硝酸態窒素濃度に換算するため0.226を乗ずる.

硝酸態窒素濃度(ppm)=RQフレックス表示 x 100 x 0.226

求めておいた水分含量から,原物あたりの硝酸態窒素濃度を計算する.

文献

平成10年度自給飼料品質評価研究会資料,pp74-77.

ヒント メルコクワント試験紙による半定量法

RQフレックスと同じ会社(メルク社,関東化学扱い)から,メルコクワント試験紙が供給されています.RQフレックス用試験紙と同じ原理(グリース法)で,ピンクに発色させる方法です.ただ,ピンク色の濃度を,色見本と比較して判定する半定量法です.測定精度は多少低いですが,なによりRQフレックスが必要ないので大変経済的で,現場での使用には有効と思います.

 

血清(血漿)中硝酸態窒素濃度(HPLC)法

HPLC条件

カラム:Asahipak NH2P-50 4E (4.6 mm x 250 mm),昭和電工

溶離液:10 mM りん酸ナトリウム,150 mM 過塩素酸ナトリウム,pH 5.0

流速:0.8 ml/min

検出:UV 210 nm

試料の前処理

血清あるいは血漿を限外ろ過により除蛋白したものを試料とする.

限外ろ過ユニットは,ミリポア社 ウルトラフリーMC(UFC3BGC00)又は同等品を用いる.

限外ろ過膜はごく微量ではあるが硝酸イオンで汚染しているので,使用直前に水洗するのが望ましい.(ろ過ユニットの試料部に蒸留水200μlをのせ,規定の遠心力以下で遠心して全量をろ過し,ろ液を完全に捨ててから使用する.洗浄後は限外ろ過膜を乾燥させないよう速やかに使用する.)

限外ろ過を使わない低コスト前処理法はこちらを御覧ください.

 

標準液

市販標準液(硝酸性窒素標準液,和光144-06351 および 亜硝酸性窒素標準液,和光 147-06341)を適宜希釈する.

自ら調製する場合は,硝酸ナトリウムおよび亜硝酸ナトリウムを105℃で3〜4時間乾燥した後秤量し,水に溶解する.

参考

確認はしていないが,眼房水中硝酸態窒素の測定にも応用できるはずである.

文献

畜産技術,449号,p38(1996).

家畜衛生研究成果情報,No.12,p7-8(1999).

注意

硝酸塩中毒は血液中に吸収された亜硝酸が原因であるが,血液に吸収された亜硝酸はヘモグロビンと反応してすみやかに硝酸となる.このため,急性中毒発症牛であっても,血清中亜硝酸濃度は痕跡程度である.一部の教科書では,硝酸塩中毒の診断マーカーとして血清中亜硝酸濃度の測定を挙げているが,これは誤りである.採血後ただちに遠心して血漿を採取すれば,亜硝酸濃度の上昇を観察できる.

 

血清中硝酸態窒素濃度(RQフレックス法)

RQフレックス試験紙に血清あるいは血漿を適量たらし,60秒後に測定する.

注意点

RQフレックスによる測定値はHPLCによる測定値の70%程度に低く出る.

溶血は正の誤差を与える.

測定感度が低いため,正常値レベルでは測定不能だが,急性中毒症状をもたらすレベルの測定には有用である.

参考

確認はしていないが,眼房水中硝酸態窒素の測定にも応用できるはずである.

文献

家畜衛生研究成果情報,No.12,p7-8(1999).

 

(最終更新:2006.6.15)


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農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 安全性研究チーム