学名:Melia azedarach Linn.
英名:chinaberry, white cedar, Texas umbrella
世界の温帯に広く分布する落葉高木で,家具材として有名なマホガニーの仲間です.日本では伊豆半島以西の本州,四国,九州,沖縄に分布しますが,古くから暖地の各所に街路樹や庭木として植えられているので,天然分布区域は不明瞭です.5〜6月に淡紫色の花を多数つけ,果実は10月頃黄色に熟しますが落葉後も木に長く残ります.果実の核は長楕円形で5〜6室からなり,各室に1個の種子がはいっています.センダンは建築材,器具材などに使用される他,その葉は肥料,殺虫剤または虫下しに用いられてきました.「せんだんは双葉より芳し」という有名な言葉がありますが,これは白檀(ビャクダン)の中国名「栴檀」を「せんだん」と読んだもので,ここでいうセンダンとは異なります.センダンには白檀ほどの香りはありません.牛,羊,山羊,豚,犬,家禽と,ほとんどの家畜に中毒例があり,ヒトの中毒事故も多いようです(1,3).
冊子の「写真で見る家畜の有毒植物と中毒」にセンダンとして掲載されている写真はセンダンではありませんでした.お詫びして下記の写真に訂正いたします.
上の2枚は和歌山県職員鳩谷珠希氏提供(大阪府,5月) 上の写真は九州沖縄農業研究センター(現 秋田県立大)森田弘彦氏提供(筑後市,11月) つくば市(11月)
有毒成分
リモノイドテトラテルペン構造を持つメリアトキシン(meliatoxin) A1, A2, B1が有毒成分として分離されています(4).実の中の有毒物質量は環境要因や木の成長過程によって差があり,中毒量の決定は難しいようですが,豚,羊で約 5 g/kg体重という報告があります.また犬の場合,5, 6個,ヒトの子供の場合,6 - 8個の実の摂取で死に至ると報告されています(1,2).
中毒症状
センダンによる中毒の転帰は早く,消化器系,神経系の臨床症状は摂取後2 - 4 時間で現れます.主な症状には食欲不振,嘔吐,下痢,便秘,疝痛,興奮,痙攣,運動失調,沈鬱,麻痺,昏睡 さらに循環性ショックと呼吸困難を経て死に至ります.通常,致死量のセンダンの実を摂取した場合,48時間以内に死亡します(1,2).
病理所見
解剖所見は非特異的ですが,最も多くみられる所見は,肝臓および腎臓の重度のびまん性充血,痙攣による二次的な筋組織の点状出血などです(1).
文献
1) Hare, W.R. 1998. Chinaberry (Melia azedarach) poisoning in animals. In Toxic plants and other natural toxicants. p514-516.
2) Hare, W.R. et al. 1997. Chinaberry poisoning in two dogs. J. Am. Vet. Med. Assoc. 210:1638-1640 .
3) Kwatra, M.S. 1974. Poisoning by Melia azedarach in pigs. Vet. Rec. 95:421 .
4) Oelrichs, P.B. et al. 1985. Toxic tetranortriterpenes of the fruit of Melia azedarach. Phytochemistry 22:531-534.