学名:Robinia pseudoacacia L.
英名:false acacia
ニセアカシアは,北米原産のマメ科の落葉高木で,日本には明治のはじめに伝わりました.枝葉がエンジュに似ていてとげがあるので,ハリエンジュとも呼ばれます.北海道ではニセアカシアがアカシアと誤称されていますが,本来のアカシア(Acacia farnesiana (L.) Willd,ネムノキ科)とは異なります.成長が非常に早く,土地を選ばず,耐寒性が強く乾燥地でも成育するため,街路樹などとして用いられています.北原白秋の「道」は,白秋が札幌を訪れた際に郷里柳川のニセアカシアを思い出して作ったものだそうす.
有毒成分
「家畜有毒植物学」によれば,1901年にニセアカシアの有毒成分として樹皮からタンパク質性の物質を分離し,ロビン(robin)と命名したとの報告があります.その後,わが国の田崎らが樹皮や葉から有毒物質を分離し,ロビチン(robitin)と命名しています.この物質はロビンと同一の物質といわれています.しかし,これらの物質の詳細は明らかにはなっていません.また,ニセアカシアの花からは,芳香を持った配糖体ロビニン(robinin)が単離されていますが,ロビニンには毒性はありません.
中毒症状
家畜のニセアカシア中毒でもっとも多いのは,樹皮を食べた馬の事例です(1,2).ヒトでも,子供が樹皮を噛んで中毒になったという事例があります(3).
中毒症状は,消化器系の異常と神経症状がみられます.消化器系の症状としては,疝痛,腸管運動の低下,便秘などがみられます.神経症状としては,興奮と沈欝の反復,散瞳,全身の筋肉の痙攣,頻脈,舌麻痺による嚥下障害などがあります.
病理所見
肉眼病変は胃腸の粘液性炎症で,時にはより高度な胃腸炎がみられます. 静脈は鬱血し,粘膜の黄色化(黄疸)が観察されることがあります.
文献
1) HopperD.W. 1999. False acacia poisoning in horses. Vet Rec. 145:115.
2) Landolt, G. et al. 1997. Vergiftung bei Pferden durch die Rinde der Falschen Akazie (Robinia pseudoacacia). Schweiz. Arch. Tierheil. 139: 363-366.
3) Sivera, A. et al. 1989. Clinico-epidemiological study of accidental poisoning with Robinia pseudoacaxia L. in school children. An. Esp. Pediatr. 30: 191-194 (in spanish).