ルピナス(ハウチワマメ)

学名:Lupinus

英名:lupine

マメ科ルピナス属の総称で,南ヨーロッパ原産といわれています.ルピナスには多くの花色があり,切り花用として栽培されています.また,南アフリカ,アメリカ,オーストラリアなどで食用および飼料作物として栽培されています.花色が黄色のキバナハウチワマメ(Lupinus luteus L.)は,わが国では戦前から観賞用として栽培されていますが,飼料用は主にオーストラリアから輸入されています.飼料用として利用されているのは,有毒なアルカロイドの少ない甘味系統の品種です.

 

(青森県,6月)

   

         (札幌市,6月下旬)                        (北海道,7月中旬)

有毒成分

ルピナス属の植物は,全草とくに種子に,有毒なキノリチジンアルカロイド(quinolizidine alkaloids)とピペリジンアルカロイド(piperidine alkaloids)を含んでいます.Lupinine,anagyrineなどのキノリチジンアルカロイドが,急性中毒の原因です.また,キノリチジンアルカロイドやピペリジンアルカロイドには催奇形性があります.

中毒症状

一度に多量のルピナスを給与すると,急性中毒を起こします.アメリカでは,L. leucophyllus, L. leucopsis, L. argenteusなどによる中毒が報告されています.中毒になった家畜は,呼吸困難(イビキをかくような状態),昏睡などを呈し,死亡します.時には,けいれんが見られることもあります.羊では,種子を体重の0.25〜0.5%以上,鞘と種子を併せた量で体重の1.5%以上摂取すると中毒を起こします.

また,キノリチジンアルカロイドには催奇形性があり,妊娠40〜70日の牛にL. sericeus, L. caudatusなどのルピナスを給与すると,胎子に奇形を起こします.前肢がねじれたり弓なりになったような奇形で,アメリカでは crooked calf disease と呼ばれています.このような奇形を起こすのは,キノリチジンアルカロイドの中でもanagyrineだけのようです.また,このような奇形が起こるのは牛だけで,羊では奇形が起こらないのですが,これはanagyrineが牛の第一胃で活性型に代謝されるためと考えられています(1).

 

文献

  1. Panter, KE, Keeler, RF. 1993. Vet. Clinics of N. Amer.: Food Anim. Prac. 9:33-40.

 

 

目次へ戻る

トップペイジへ戻る


最終更新日:2010.7.2 種子の写真の追加

本ウェブサイトの情報を無断で転用することを禁じます

独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 安全性研究チーム