エゴマ

学名:Perilla frutescens (L.) Britton var. frutescens

英名:perilla

エゴマはシソ科の一年草で,シソ(Perilla frutescens (L.) Britton var. crispa (Thunb.) Decne)の変種です.原産地はインド,中国で,日本でも古くから栽培されています.葉はシソよりやや大きく,色は緑ですが,シソほど鮮やかではありません.種子は50%ほどの乾性油を含んでいて,これを絞ったものが荏油(えのあぶら)です.荏油は食用のほか,ペイント,印刷インクや和傘,油紙などの防水用にも用いられます.また,菜種油が使われるまでは,灯火用としても使われていました.荏油はα-リノレン酸を多く含むため,最近は健康食品としても注目を浴びています.一方,葉はぺリラケトン(perillaketone)などの3位置換フランを含み独特の匂いがあるため,食用にはあまり用いられません.

  

(茨城県つくば市,左:7月中旬,右:8月下旬)

有毒成分

エゴマの葉には,ペリラケトン,エゴマケトン(egomaketone)などの3位置換フラン化合物が含まれています(6).これらの物質は,甘藷黒斑病が発生したサツマイモが産生するファイトアレキシンのイポメアノールと類似の構造をしていてます.また,イポメアノールと同様に,これを摂取した牛に急性肺水腫,肺気腫(間質性肺炎)を起こします(3,4).甘藷黒斑病については,こちらのペイジを御覧ください.

  

  

ぺリラケトンに対する感受性はマウスで高く,続いてウサギ,ハムスター,ヒツジ,ラット,ウシ,イヌ,ブタの順で,ぺリラケトンに対する感受性と肺のシトクロム P450濃度には相関関係があります(1).これは,ぺリラケトンなどの3位置換フラン化合物がシトクロム P450によって反応性の高い代謝物へ変化し,これが肺を障害するためです.

検査法

ぺリラケトン,エゴマケトン,イソエゴマケトンなどはGC-MS法で分析できます(5).

中毒症状

アメリカでウシの中毒事例や子牛への給与試験の報告があります(3,4).野外例では急死で初めて異常に気づくことが多いようですが,給与試験では,呼吸数の増加および呼吸困難が観察され,流涎を呈する牛もいました.重症例では給与後23時間で死亡しました.

病理所見

急性の肺水腫,肺気腫が特徴的な病変です.

子牛への給与実験(3)の肉眼所見では,肺の膨張が見られ,重量も増加していました.また,肺気腫も見られました.

組織所見では,II型肺胞上皮細胞の過剰な増殖により広範に細胞密度が増加し,しばしば肺胞腔全体を被っており,胸膜下組織および肺小葉間中隔は淡桃色の蛋白質様の水腫ならびに気腫により,軽度ないし著明に肥厚していました.また,肺胞腔には軽度に増数したマクロファージが見られました.

文献

1) Garst, J.E. et al. 1985. Species susceptibility to the pulmonary toxicity of 3-furyl isoamyl ketone (perilla ketone): in vivo support for involvement of the lung monooxygenase system. J. Anim. Sci. 60(1):248-257.

2) Guerry-Force, M.L. et al. 1988. Morphology of noncardiogenic pulmonary edema induced by Perilla ketone in sheep.

Am. J. Pathol. 133(2):285-297.

3) Kerr, L.A. et al. 1986. Intoxication of cattle by Perilla frutescens (purple mint). Vet. Hum. Toxicol. 28:412-416.

4) Linnabary, R.D. et al. 1978. Acute bovine plumonary emphysema produced by Perilla frutescens. Mod. Vet. Pract. 59:684-686.

5) Nitta, M. et al. 2006. Essential oil variation of cultivated and wild Perilla analyzed by GC/MS. Biochem. System. Ecol. 34:25-37.

6) Wilson, B.J. et al. 1977. A potent lung toxin from the mint plant, Perilla frutescens Britton. Science 197(4303):573-574.

 

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最終更新日:2009.2.18  穂の写真の追加

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