クララ

学名:Sophora flavescens Ait.

クララは,本州から九州の日当たりの良い山地の草地や河原などにみられるマメ科の多年草で,別名をマトリグサあるいはクサエンジュといいます.草丈は80cm〜1.5mほどで,6〜7月に多数の淡黄色の花が茎の先に穂状につきます.豆果は4〜5個の種子を含み,長さ7〜8cmほどになります.クララはオオルリシジミの幼虫の食草で,幼虫はつぼみを食べて育ちます.阿蘇や久住の火山性高原の草地では,5月頃にクララの周りを飛ぶオオルリシジミがみられます.和名の由来は眩草(くららぐさ)がつまったもので,根を噛むと目がくらむほど苦いことによると言われています.漢方では根を乾燥したものを苦参(くじん)といい,健胃・利尿・解熱・鎮痛薬として用いられています.

有毒成分

クララをはじめ,ルピナス(lupinus),エニシダ(cytisus)などのマメ科の植物は,キノリチジンアルカロイド(quinolizidine alkaloid)を含んでいます.ルピナスの中毒はアメリカで多く発生しており,その原因物質はルピニン(lupinine)というキノリチジンアルカロイドとされています.一方,クララなどのSophora属の植物には,マトリン(matrine),オキシマトリン(oxymatrine),シチシン(cytisine)などのキノリチジンアルカロイドが含まれています.マトリンの薬理作用はあまりよく分かっていないようですが,大量投与によって随意運動の障害,脊髄反射亢進による痙攣などをもたらすことが知られています.また,マトリンには中枢作用のほかに,実験的ストレス潰瘍の発症を抑える作用もあることが報告されています.

同じクララ属のSophora secudifloraの種子も有毒です.この種子のアルカロイド画分あるいはアミノ酸画分単独での毒性は弱いのですが,両者を同時に投与すると強い毒性を示すと報告されています(1).

中毒症状

クララによる家畜の中毒に関する報告はほとんど見あたりませんが,大正時代に馬での中毒事例が報告されています.中毒症状としては,流涎,沈欝,歩様不整,脈拍疾速,呼吸瀕数そして痙攣が観察されています(家畜有毒植物学).

 

文献

1) Knauer, K.W. et al. 1995. Mescalbean (Sophora secundifola) toxicity in a dog. Vet.Human.Toxicol. 37: 237-239.

 

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最終更新日:2003.11.1

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