学名:Sorghum bicolor (L.) Moench
英名:sorghum, sorgo
イネ科モロコシ属の一年草で,茎は直立し草丈は1 mから4 mを超えるものもあります.北東アフリカが原産といわれ,古くから食料や飼料として利用されてきました.わが国には室町時代に中国から伝来したとされています.畜産,飼料分野では「ソルガム」と呼ばれ,夏作の代表的飼料作物です.
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(茨城県つくば市,左7月,右8月)
有毒成分
モロコシやスーダングラス(Sorghum sudanense (Piper) Stapf)などのソルガム類は,茎葉に青酸配糖体のドゥーリン(dhurrin)を含みます.青酸配糖体は酵素的に分解されて青酸を遊離します.青酸配糖体は植物の上皮細胞に存在しますが,青酸配糖体を加水分解する酵素は表皮細胞の内側にある葉肉細胞に存在します.咀嚼や胃内での消化によって両者が接触すると青酸配糖体が加水分解して青酸が遊離します.発育初期のソルガムには多量の青酸配糖体が含まれますが,成長とともに減少します.そのため,ソルガムは牛の腹の高さに成長するまで給与するなといわれています.
青酸配糖体は,マメ科のシロツメクサ,バラ科のウメ,アンズ,リンゴなどの未熟な果実などにも含まれています.
青酸はミトコンドリアの呼吸酵素シトクロムオキシダーゼを阻害し,ATPを枯渇させることにより毒性を示します.もっとも障害を受けやすいのは中枢神経系です.青酸は,肝,腎などに存在するチオ硫酸と反応して毒性の低いチオシアネートとなり,尿中に排泄されます.
検査法
青酸配糖体から遊離した青酸を血液や胃内容中から検出するための定性試験キットが市販されています(和光純薬,シアンテスト−ワコー).定量試験法としてはピリジン・ピラゾロン法があり,詳細は「最新裁判化学」に記載されています.
中毒症状
青酸中毒の動物は,呼吸促迫,興奮,あえぎ,ふらつき歩行,痙攣,麻痺などを経て,重篤な場合は死亡します.急性の場合は突然死します.血液はオキシヘモグロビンによる鮮紅色を呈します(1)
治療法
治療には,亜硝酸ナトリウムやチオ硫酸ナトリウムの静脈内投与が有効です.亜硝酸ナトリウムによりヘモグロビンがメトヘモグロビンに変化しますが,メトヘモグロビンは直ちに青酸と結合しシアンメトヘモグロビンになるため,青酸による障害が消失します.ただし,メトヘモグロビン濃度が40%をこえないよう注意が必要です.チオ硫酸ナトリウムは青酸と反応してチオシアネートとなり,毒性を消失させます.成人の場合,3%亜硝酸ナトリウム溶液10mlを3分間かけてゆっくり静注し,つづいて10%チオ硫酸ナトリウム溶液120mlを10分かけて静注します(九州大学医学部衛生学講座井上尚英教授私信).
文献