(カラクサナズナ

学名:Coronopus didymus (L.) J.E.Smith

英名:lesser swinecress

カラクサナズナはアブラナ科の越年性草本で,カラクサガラシあるいはインチンナズナとも呼ばれます.カラクサナズナはヨーロッパが原産ですが,現在では九州を中心にして北海道を除きほぼ全国的に分布しています.茎は多く分枝し,草高は20〜30cmになります.春から秋にかけて直径1mmほどの花が咲き,2個の球を合わせたような1.5mmほどの果実を付けます.この特異な形状の果実と,深く羽状に裂け臭いのある葉によって,他の植物との鑑別は容易です.最近,九州各県の飼料畑でカラクサナズナが成育しており,これを摂取した牛の乳で異臭が発生し問題となっています(1).

写真はすべて近畿中国四国農業研究センター(現所属 畜産草地研究所)佐藤節郎氏提供

異臭乳の発生とその原因物質

九州農業試験場(現九州沖縄農業研究センター)の塩谷ら(現所属:畜産草地研究所)の実験では,カラクサナズナの臭気を泌乳牛に吸わせても異臭乳は発生せず,カラクサナズナ摂取後にのみ異臭乳が発生しました.体重580kgの泌乳牛に1日4kgのカラクサナズナ生草を2日間給与したところ異臭乳が発生し,給与後60時間の臭気が最も強かったと報告されています(2).

カラクサナズナの香気成分を分析したところ,多量のベンジルイソチオシアネート(benzyl isothiocyanate)が検出され,異臭乳からもベンジルイソチオシアネートが検出されました.さらに異臭乳では,牛乳の芳香性に関与するラクトン類が減少していることも明らかになりました.これらのことから,カラクサナズナに含まれるイソチオシアネートの抗菌作用により第一胃細菌叢が変化し,これによって異臭乳が発生したものと考えられています.また,乳汁に移行したベンジルイソチオシアネートも異臭の要因の一つと考えられています.

文献

1) 佐藤節郎 1996.異臭乳の原因となる帰化雑草「カラクサガラシ」.畜産の研究 50:371-375.

2) 塩谷繁ら 1999.カラクサガラシによる異常風味牛乳の発生機構 1.異常風味牛乳の臭気成分および臭気の移行経路.日本草地学会講演要旨 p296-297.

 

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最終更新日:2008.11.21 写真提供者所属の更新

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